電子決裁・電子文書保存の導入
文書管理における印鑑フリーやペーパーレスにより
業務効率化・時間と場所に囚われない働き方を実現
印鑑フリー運用とチーム結成の背景
2020年6月、東北大学オンライン事務化宣言が発出されました。この宣言では、ニューノーマル時代における新たな大学の姿を先導し、学生・教職員が、今まで以上に学業や教育・研究活動に専念できる場を提供していくため、ワークスタイル変革として窓口フリー、働き場所フリー、印鑑フリーの3フリーを掲げました。印鑑フリーとは、押印を廃止し各種手続きの完全オンライン化を進め、同時に電子決裁システムを導入し、業務の効率性も向上させることを狙いとしています。
その実現のために、業務のDX推進プロジェクト・チームを学内公募で募集・結成し、印鑑フリーチームを立ち上げ、2021年4月1日に印鑑フリーの導入を実現しました。また、法人文書管理を所掌する原課も連携部署として印鑑フリーチームに参画しました。
プロジェクト・チームの活動内容
印鑑フリーチームでは、プロジェクト結成初年度の2020年度に、学内に存在する「押印」を、「発生源の押印」「決裁印」「公印」の3種類に大別して整理しました。この中の「決裁印」について、電子決裁のみならず電子文書保存も含めて検討しました。
早期実現のために今あるものを最大限活用できる方法を検討し、2020年8月にシステム更新したばかりの教職員グループウェア(サイボウズ Garoon)のワークフロー機能に着目しました。グループウェアは全教職員が利用可能であること、ワークフローのフォームをユーザー自身で作成可能であること、フォームの内容や承認ルートを柔軟に設定できること、Javascriptカスタマイズ機能により特殊な決済業務の運用に合わせられることが、大きな決め手でした。
また、従来の紙決裁で行われていた運用について、可能な限り電子決裁でも実現できないか検討しました。紙決裁では決裁途中の指摘を受けて文書を修正し差し替えることが往々にしてあります。ワークフローの添付ファイル機能では、決裁途中の電子文書を確認する際にファイルのダウンロードが必要であり、付箋や赤ペンで文書に対して指摘することもできず、指摘を反映した文書の差し替えも困難でした。そこで、本学で既に導入しているGoogle WorkspaceのGoogleドライブを利用する案が浮上しました。Googleドライブであれば、ブラウザのGoogleドライブやパソコン版Googleドライブでファイルをダウンロードせずに閲覧したり、直接コメントしたり、ファイルを修正したりすることが可能ですので、採用することに決めました。
電子決裁の開始にあたって、マニュアルの整備や説明会を実施し、決裁業務の見直しも併せてお願いしました。特に専決事項を整理して、決裁権者の承認業務を軽減することもお願いしています。
これまでの成果
プロジェクト結成初年度の2021年3月に説明会を開催し、2021年度(2021年4月)から電子決裁・電子文書保存を開始しました。運用開始後は、問い合わせ対応等を踏まえて、マニュアルのブラッシュアップ、事務職員説明動画の公開、ワークフローの改善や、部局キャラバンチームと連携した活動を行っています。これにより、電子決裁・電子文書保存の普及率は着実に向上しています。
<2021年度>
説明会開催
電子決裁の達成度(※):41.9%
<2022年度>
部局キャラバンの実施
事務職員SD動画の公開
電子決裁の達成度(※):50.1%
<2023年度>
部局キャラバンの実施
フォローアップ説明会の開催
電子決裁の達成度(※):65.7%
※以下の例にあげられる「電子化に向かない紙文書」を除き、電子決裁をどの程度行っているか。
・文書のPDF化が困難 又はディスプレイでは文書の確認が困難な場合
・電子帳簿保存法の適用を受ける財務会計システム関係書類の場合(法令を遵守するための事務作業量が増加する 等)
・ その他、電子化することで業務が煩雑になると考えられる場合
今後の展望
電子決裁・電子文書保存の普及を今後も続けていくともに、法令等の緩和があった際にはマニュアルをブラッシュアップすることで、印鑑フリーの促進を図り、業務効率化・時間と場所に囚われない働き方を着実に実現して参ります。