働き場所フリーの取り組み

「いつでも」「どこでも」「誰でも」働ける環境の創造



働き場所フリー運用とチーム結成の背景

 2020年6月、東北大学オンライン事務化宣言が発出されました。この宣言では、ニューノーマル時代における新たな大学の姿を先導し、学生・教職員が、今まで以上に学業や教育・研究活動に専念できる場を提供していくため、ワークスタイル変革として窓口フリー、働き場所フリー、印鑑フリーの3つのフリーを掲げました。
 働き場所フリーでは、テレワークやフレックスタイム制等、制度とその運用のソフト面と、業務システム導入やクラウドPBX等のハード面の双方から新しい働き方を実現するための環境整備を行い、「いつでも」「どこでも」「誰でも」働くことができる魅力ある職場環境を創成することを狙いとしています。
 これを実現するため、業務のDX推進プロジェクト・チームを学内公募で募集・結成し、働き場所フリーチームを立ち上げました。2021年4月1日に就業規則を改正し、テレワークおよびフレックスタイム制を制度化しました。それに際し、スムーズに運用を開始できるようにテレワークに関係する規程やマニュアルを整備しました。"

プロジェクト・チームの活動内容

 働き場所フリーチームでは、まずはじめに、本学が目指す「働き場所フリー」を定義することから始めました。

「働き方改革」

 働き場所フリーは職員に柔軟な働き方を提供し、ワークライフバランスの向上に寄与します。職員は自宅やカフェ、コワーキングスペースなど、自分にとって最適な環境で仕事をすることができるため、ストレスの軽減や満足度の向上が期待できます。これにより、モチベーションが向上し、結果として業務パフォーマンスの向上が見込まれます。

「生産性の向上」

 職員が最適な環境で仕事をすることで集中力が高まり、効率的に業務を遂行できるようになります。また、通勤時間が削減されることで、余分な疲労や時間の浪費がなくなり、その時間を仕事や自己研鑽に充てることができます。さらに、オンラインツールやクラウドサービスの活用により、情報共有やコミュニケーションが円滑に行われ、チーム全体の生産性が向上します。

「人材確保」

 地理的な制約がなくなるため、仙台市に限らず日本全国、さらには世界中から優秀な人材を採用することが可能になります。これにより、特定の地域に依存することなく、多様なスキルや背景を持つ人材を確保することができ、組織の競争力が強化されます。また、柔軟な働き方を提供することで、育児や介護、学業などと両立したいと考える人材にも魅力的な職場として認識され、定着率の向上にもつながります。

「コストダウン」

 オフィススペースや設備にかかるコストを削減できるため、固定費の大幅な削減が可能となります。また、事務スペースを縮減することで、教育や研究のスペースを拡大することができ、限られたスペースを効率的に使用することができます。また、通勤手当やオフィスでの消耗品費用も削減されるため、全体的な運営コストが抑えられます。


 チームでは、このような「働き場所フリー」の戦略に基づいて、テレワークやフレックスタイム制、フリーアドレス等、既存の働き方にとらわれずによりよい働き方を目指す為に検討を行っています。

 テレワークに関係する規程やマニュアルの検討を行い、2021年4月にテレワーク及びフレックスタイムに関して、就業規則を改正し、正式な制度として整備しました。また、2021年8月には、事務職員向けの業務環境である仮想クライアントの更新と業務システムのクラウド化を行いによる大幅な性能向上とBCPの強化を行いました。加えて、10月にはGoogle Chromebookを定員内の職員全員+α、1,238台を配付しました。

 これらにより、在宅勤務においても職場と同じ環境で仕事が可能となり、業務効率を向上させることができます。さらにテレワークを行う際の課題となった出勤者・在宅勤務者での電話対応の差を解消するため、クラウドPBXを用いたスマートフォン内線化の検討、実証実験を行いました。2022年4月より全学にける希望部署にクラウドPBXのサービスを提供し、働き場所にとらわれない業務環境を実現すべく取り組んでおります。

これまでの成果

「テレワークおよびフレックスタイム制を制度化」

 ニューノーマル時代にふさわしい働き方への改革として、多様な構成員の多様な働き方を実現するために、人事企画部と連携しながら、就業規則の改正に取り組みました。 テレワークの制度について、テレワークを行うことが可能な期間や勤務場所の制限を撤廃し、令和4年度からは「いつでも」「どこでも」「誰でも」テレワークが行えるよう改正しました。制度の改正に合わせて、新型コロナウイルス感染症への暫定対応として手続等が明確でないまま運用されていたテレワークの運用ルールをテレワークマニュアルとして整備し、職員が制度をより利用しやすいよう取り組みました。

 また、フレックスタイム制について、令和3年9月に本部事務機構における試行を実施した後、令和4年度からは本格的に制度を導入しました。 テレワーク及びフレックスタイム制の制度を整備することにより、職員個々の事情に合わせた柔軟な勤務が可能となりました。

「Chromebookの導入」

 新型コロナウイルス感染症が流行する前においては、出勤や対面での会議があたり前であり、業務用端末はデスクトップ型のシンクライアント端末で十分でしたが、流行後においては、テレワークやWEB会議への対応が必要となりました。 そこで、Webカメラがついており、持ち運びしやすい業務用端末として、Chromebookを導入しました。
 Chromebookは管理者による端末の一括管理が可能で、ローカルにデータを残さないため、紛失・盗難等、持ち出し時のセキュリティリスクを回避できます。 Chromebookの導入により、安心・安全で、テレワークにも対応した業務環境を整備することができました。

「テレワーク時における電話への対応」

 コロナ禍におけるテレワーク運用上においては「テレワーク時に職場に連絡があった電話に対応ができない」「テレワーク時に私用の電話番号が相手に通知される」という問題がありました。これらに対応すべく、2021年10月よりクラウドPBXの実証実験を開始しました。
 クラウドPBXとは、スマートフォンに専用アプリをインストールすることで、インターネットを使った電話回線サービスが利用できる仕組みです。これにより、私用の電話番号とは別の業務用電話番号を利用することができ、職場で出勤者が受けた電話をテレワーク者へ転送できるなど、業務環境の向上を実現しました。
 現在は、全学における希望部署において、クラウドPBXを導入し、運用を行っています。

「業務におけるチャットボットの活用」

 学内に点在する各種業務のマニュアルや規定の掲載サイトURL等の情報を整理・集約した上で、チャットボットのFAQデータとして登録し、このチャットボットを2022年9月より全教職員が利用する学内グループウェア上で公開しました。
 先輩や同僚等、身近な職員に質問をすることで業務を効率的に進めることが可能となるように、テレワークにおいても気軽に質問ができ、どこにいても、職場と同じように業務を推進できるようチャットボットの活用に取り組みました。

今後の展望

 より働きやすい業務環境の整備に向けて、これまではテレワークに係る業務環境の整備に注力してきましたが、これからは出勤時の事務室に係る業務環境の整備に取り組んでいきたいと考えています。本学においては、事務室内において有線LANや固定電話の電話線が絡まり乱雑な状態で配線されており、常に固定化された席で業務を行っております。また、クラウドPBXの利用は一部の希望部署に留まっているような状況です。

 今後は、固定電話を廃止しすべての部署がクラウドPBXを導入することや、有線LANを廃止し無線LANを導入することで、フリーアドレスを実現し、これまでになかった新たなイノベーションを創出できるような業務環境の整備に取り組んでまいります。

関連動画

Telework × Flextime 利用モデル(東北大学_業務のDX推進プロジェクト)