ChatGPTの導入

全国の大学に先駆けてChatGPTを導入

概要・導入の背景

 アメリカの企業OpenAI社が2022年11月に公開したChatGPTは、大量のデータから言語学習を行い、人間に近い自然な文章を生成することができる人工知能チャットボットです。幅広い分野での活用が可能なことから、世界中の企業や教育研究機関等で利用について検討が進んでおり、日本の行政機関においても導入が始まっています。RPAなど、自動化のためのルール設計・準備が必要だったこれまでのツールに比べ、自動学習型の人工知能チャットボットは汎用性が高く、様々な業務の効率化が期待されます。

 東北大学では2023年5月に全国の大学に先駆けて本サービスを導入し、現在、事務職員・技術職員、教員など約200名が本システムを利用しており、文章の作成補助や内製プログラムのコードレビューなど、様々な業務で活用されています。

活用事例

動画シナリオの作成補助

 DXの取り組み動画作成においては、脚本はこれまで、担当者が1から構成を考えて作成しておりましたが、ChatGPT導入後は、取り込みたいキーワードを入力することで、複数の脚本案を作ることができようになり、動画作成時間の短縮、および表現方法の多様化が可能となりました。

Google App Scriptの作成

 東北大学で既に導入しているGoogle Workspace上でGoogleスプレッドシート等の各種サービスの自動化・連携等を行うためのツールであるGoogle App Scriptの作成においては、これまでインターネット上で検索を行い、既存のスクリプトをコピー、カスタマイズするか、詳しい担当者に聞く等の方法で作成しておりました。この方法だと、欲しいスクリプトがインターネット上にないといった問題や、この処理については周りに詳しい担当者がいない、といった課題がありました。ChatGPT導入後は、要件を箇条書きで伝えることで、所望する処理を含んだスクリプトを直接作ることが可能となり、作成時間の大幅な短縮を実現できております

 上記の他、東北大学では様々な部署で生成AIを活用しており、活用方法も多岐に渡ります。下記に現在既に活用されている一例を示します。
・外国企業とのメールのやり取りの際の翻訳
・挨拶文、通知文等の作成
・内製システムなどのプログラミングコーディング補助やコードレビュー
・オンライン会議の議事録等のサマライズ
・専門用語検索補助
・企画業務でのアイデア出し
・記事のリライト
・作業手順書の作成

今後の展望

 東北大学では、ChatGPTの発達とともに今後も生成AIの活用を拡大していきます。例えば、研究インテグリティの確保のため経済産業省が公開する外国ユーザーリストなどをデータを活用し、研究相手先機関が懸念機関として掲載されていないかを生成AIを活用してチェックするシステムの運用を検討しています。また、既存のチャットボットをリプレースし、生成AIに独自のデータを読み込ませる仕組みを有する生成AIチャットボットを導入する予定です。これにより、生成AIを活用しつつ様々な学内データに基づき回答が可能となり、利用者の利便性が大幅に向上すると期待されます。
 一方で、独自のデータを生成AIに与えることは情報漏洩やプロンプトインジェクションなどの攻撃への一層の対処、またハルシネーションを発生させないための頑健な設計も肝要となります。これらに最大限に配慮しつつ、生成AIを活用し、さらにDXを推進してまいります。