RPAの導入
定型業務を抜本的に見直し、より高付加価値業務へのシフトチェンジを図る
導入の背景
RPAとは、ロボティック・プロセス・オートメーションの略称で、企業の業務プロセスを自動化するための技術であり、特に定型的で繰り返し行われるタスクを自動化するために利用されます。RPAはソフトウェアロボット、またはボットを使用して、人間がコンピュータで行う操作を模倣し、業務を効率化します。これにより、エラーの削減、生産性の向上、コストの削減が可能となります。
東北大学では、オンライン事務化宣言の着実な実現と潜在的な業務改善項目の洗い出しに取り組むとともに、定型業務の効率化を目的として導入の検討が行われ、NEC製のRobosolをツールとして選定しました。その後、本部事務機構を中心とした定常業務のRPAへの移行の過程でその業務削減効果を実感し、事務職員がより戦略的な業務に注力できる環境を構築するため、全部局の事務部へ展開を実施しました。
展開にあたっては、全部局でRPAに代行可能な業務の洗い出しを行うことで既存業務のフローの見直しを併せて実施し、2021年11月1日までに端末配置を完了しました。
プロジェクト・チームの結成
RPAの導入にあたっては、RPAの全学展開を目的として2021年8月に業務のDX推進プロジェクト・チーム(RPAチーム)を結成して、活動しております。2021年度から活動を始め、「定常的な業務に多くの時間を取られ、業務改善や戦略的業務にかける時間が足りない」という問題を解決したい、という意欲をもって参加したメンバーによって、活動を行っております。
プロジェクト・チームの活動内容
RPAチームの活動として、全学へのRPA展開のプロセスをご紹介します。まず、RPA端末の配付に先立ち、全部局の事務部でRPA化が可能な定常的な業務の洗い出しを行いました。この洗い出しの作業により抽出された「全部局で共通的に行われている定常業務」に着目し、この業務を「共通業務」として整理し、DXチームで集中的にRPA開発を行い、全学に配付しました。その他部局固有の業務については、各部局の担当者が、RPAチームメンバー、およびベンダーサポートのもとでRPA化を行う、というプロセスで活動を進めました。特に「共通業務」について、RPAチームで集中的に開発を行ったRPAをライブラリとして整理し、全部局の誰でも活用できるものとして管理を行っております。
また、RPA設定にあたって、マニュアルを読んでも操作方法が分からない、設定方法が分からないという部局に対しては、直接部局にハンズオンで導入支援を行う対応を行い、全学でのRPAの利用率の向上に努めています。
これまでの成果
2021年度までに主要なRPAの作成を完了し、「RPAを導入している部署数」を 36部署 、「削減される業務時間」を年間81,067時間に成長させました。2022年度からは、更なるRPAの活用を目的として部局キャラバン等を通じた実務担当者へのRPA導入・活用支援や共通業務RPAの拡充により「RPAを導入している部署数」を全43部署、「削減される業務時間」を年間102,008時間 へ拡大させました。
課題・今後の展望
2022年度までに主要なRPAの作成とライブラリの拡充を行い、RPA導入部署を全学に拡大したことに伴い、既存の業務削減時間だけではない次なる目標設定が必要となりました。学内でのRPAを始めとするDXツールの習熟度の高まりに伴い、定常業務の置換だけではなく、複数のDXツールの組み合わせが必要となる、より複雑な業務改善の要望が聞かれるようになりました。
その流れを受けて、2023年度からはRPAチームとノーコード・ローコードチームが合流し、「業務のスマート化チーム」としてRPAだけではなく、ノーコードアプリやGoogle基盤などDXツール全般を活用したソリューション提供を目的として活動の幅を広げています。