部局キャラバンの実施
DX人材の育成と普及啓発によって、変革を組織文化として定着させる
実施の背景・経緯
業務のDX推進プロジェクトの成果として導入した各制度、ツール、フロー等は、主に全学向けの説明会や窓口担当者向けの連絡・ハンズオンによって周知を図ってきました。しかしながら、現場への定着度合いについては部局等毎に差異が出ておりました。そこで各部局等に直接出向き対面でのヒアリングや提案などを通して、各部局のマネジメント層~現場が抱える課題を解決し、プロジェクト成果の定着を図る「業務のDX推進のための取組状況ヒアリング及び更なるDX推進に向けた部局相談会」(通称、「部局キャラバン」)を2022年度より実施しております。
各種調査の結果を元に、DX推進を行うために必要な三大要素として、「各組織で核となるDX人材の育成」「全学でのDXに関する知識の共有」「DX化を広げやすい価値観の共有」を設定。これらの要素を最も効果的に実現するためには、従来までの説明会やハンズオン、Webサイト等での普及啓発に加えて、直接ヒアリングや提案を行う「部局キャラバン」を実施することが肝要であるという認識の元、プロジェクト・チームを結成して本活動を行っております。
実施内容
「部局キャラバン」は、前述のとおり、対象となる部局等に直接出向き、対面で実施しております。実際には、業務の都合上事務室にいなければならない職員や、テレワークの職員等もいるため、ハイブリッド形式にて行っております。ハイブリッド開催に必要な資機材は、プロジェクター/大型モニター等の一部を除き基本的に全て持ち込み、可能な限り部局等の負担を少なくしております。対面開催にこだわる意図としては、従来のオンライン説明会等で掬いきれなかった、別作業等をせずに集中して意見交換ができること、建前の話ではなく実態の話ができることなど、生のコミュニケーションによるメリットにより普及啓発を図るためです。
部局等側参加者については、部長・課長級から、課長補佐~係長級、実務担当者と、マネジメント層~中間層~実務層全ての方々に参加いただいております。これによって、価値観の共有を全ての層の方々隅々まで行うことができ、また実務層からのDX推進をマネジメント層・中間層の方がサポートできるような組織作りに寄与することが可能となりました。
プロジェクト・チーム側参加者については、関係する各チームから参加いただく他、ハイブリッド形式により現地参加者以外のプロジェクトメンバーも参加可能としていることから、当日のアジェンダ以外の質問があっても適切に回答できるようにしております。
実施時間は2時間としておりますが、終了後に実際に事務室でRPA端末を操作したり、担当者同士の立ち話が行えるような時間も加味していることで、より対面開催のメリットを出せるような構成としております。
これまでの成果
2022年度には計13部局等、2023年度には計7部局等への部局キャラバンを行いました。キャラバン実施済部局等では、DX推進の定着度について向上しているといった結果が得られました。例えば電子決裁については、キャラバン実施前の2021年度と比較し、2023年度は22.83ポイント向上しております。
また、部局キャラバンで部局等から得られたフィードバックをプロジェクト内各チームの施策に反映し、例えば起案された電子決裁の集計データの見える化を図るなど、プロジェクトの成果をより現場の方々に定着しやすいものにすることができました。
課題・今後の展望
学内の部局数に対し、部局キャラバンを実施できるところが時間的制約等により一部に留まっているという課題があります。部局キャラバン自体が当日の準備や後片付け等を含むと半日は必要となるうえに、それまでの日程調整や終了後のフォローアップ等も加味すると1部局への部局キャラバン実施のために多くの時間を使います。
そのため、部局キャラバンを実施した部局の方が他の部局等へ人事異動した際にはDX人材として積極的にDX推進を行ってくれるようなサイクルが定着できるよう、フォローアップを行っております。部局キャラバン終了後、数か月後に、チーム側で当日持ち帰りとなっていた案件へのその後の確認結果や進捗報告、部局側で今後行うとしていた案件の進捗確認や不明点聞き取りなどをフォローアップとして行うことで、継続的にPDCAサイクルを部局内において回せるきっかけや、部局キャラバンで得られた個人同士の人脈を大切にし、部局側が問い合わせしやすい環境作りを行っております。