生成AIで作る!送金XML自動出力ツール

生成AI(ChatGPT)を活用したPythonベースの送金XML自動生成ツールを内製開発

概要

 金融機関の外国送金データ提出形式が「固定長テキストファイル」から「ISO 20022 XML形式(pain.001.001.09)」へ移行されることを受け、生成AI(ChatGPT)を活用したPythonベースの送金XML自動生成ツールを内製開発。Excelデータを読み込んで必要なXMLファイルを出力するアプリケーションを構築し、実務現場で即利用可能な形で導入しました。

背景と課題

 国際送金における標準規格が従来の「MT形式」から「ISO 20022(MX形式)」への移行が世界的に進んでおり、SWIFT(国際銀行間通信協会)は2025年11月をもって旧形式の廃止を予定しています。これに伴い、東北大学が取引する国内金融機関においても、外国送金の一括アップロードファイルの形式変更が決定。2025年9月以降は「固定長テキストファイル」から「ISO 20022 XMLファイル(pain.001.001.09)」へ移行されることになりました。

 従来は、金融機関から提供されたExcelマクロツールで固定長テキストファイルを出力していましたが、新形式対応のXML出力ツールの提供はなく、業務現場での対応が大きな課題となっていました。

 特に、外国の研究機関・研究者との連携が多く、国際卓越研究大学にも認定された東北大学にとって、外国送金業務は日常的かつ今後もますます増加が見込まれる重要な業務領域です。

 このような状況を背景に、「XMLファイル出力ツールは必要不可欠」との結論に至り、内製によるツール開発がスタートしました。

解決策:生成AIとの“対話型開発”で内製ツールを構築

Pythonを採用し、実務に耐えるアプリケーションを開発

 開発にあたっては、ChatGPT(GPT-4)を中核とする生成AIを活用し、言語選定、環境構築、コード生成、検証までを全てAIとの対話形式で進めました。

開発のステップ(ChatGPTとの対話による進行)

  1. 言語選定と開発環境の整備
    • Excelマクロや他の言語と比較し、豊富なライブラリと習得のしやすさからPythonを採用。
    • openpyxlやxml.etree.ElementTreeといったライブラリを導入し、AIの案内に沿って環境構築を実施。
  2. 環境構築と基本操作の習得
    • Pythonのインストール、仮想環境の作成、必要ライブラリ(openpyxl, xml.etree.ElementTree など)の導入なども生成AIに聞きながら進行。
  3. GUIベースのツール設計
    • exeファイル形式で配布できるように構成。
    • 起動後、Excelファイルの読み込み・保存先フォルダの指定・XMLファイルの出力が可能。
  4. 段階的な機能拡張(スモールスタート)
    • 最初は必要最小限のカラムのみ対応。
    • 慣れた段階でカラム数を増やし、対応項目を拡充。
  • Excel、XML、GUIなど目的別に使える豊富なライブラリ
  • Excelのカラム名をもとに柔軟なデータ処理が可能
  • 階層構造のXML定義が容易でISO 20022形式にも対応しやすい
  • pyinstallerで.exe形式に変換し配布が容易
  • 初期は生成AIがすべてコードを作成したが、後半には自分で修正できるようになった
  • 仕様の相談、コード生成、修正依頼などに即時対応し、反復も迅速。
  • プロンプト設計の工夫により、AIとのやり取りの精度も向上。
  • スレッドが長くなり回答が不安定になった際は、新しいスレッドを立て直し、現在のコードを提示して再説明することでスムーズに継続。
  • プロンプトの出し方も習得し、AIとのやりとりの質が向上。

開発担当者のコメント

 ChatGPTとのやり取りは、まさに“対話しながら開発している”ような感覚で、開発未経験者でもスムーズに進めることができました。通常、未経験の開発言語に取り組む際には、書籍や詳しい人の支援が必要ですが、生成AIが信頼できる相棒のように寄り添ってくれることで、安心して開発に取り組むことができました。

 まるで先輩の指導者であり、ペアプログラマーであり、テスト担当者でもあるような存在で、コーディングの壁を一つひとつ一緒に乗り越えていく感覚がありました。

 また、単なるノーコードやローコードツールに頼るよりも、生成AIとフルコーディングで開発を行うほうが、柔軟性と実用性の両立が可能であると実感しています。短期間で、しかも実務にそのまま使えるツールが完成したのは非常に大きな成果でした。

東北大学情報部デジタル変革推進課専門員 小野﨑伸久氏

今後の展望

学内からの要望に柔軟に対応
利用部局や担当者からのフィードバックをもとに、入力フォーマットや出力仕様のカスタマイズ、対応項目の追加など、実務ニーズに応じた機能拡張を継続していきます。

大学DXアライアンスでの活用事例の共有・発展
本ツールの開発事例を、国立大学法人の枠を越えた「大学DXアライアンス」内で共有・発信し、他大学における同様の課題解決にも資する情報提供を進めます。
また、他大学の開発者・実務担当者との知見交換を通じて、連携型の発展や共同プロジェクトへの展開も視野に入れています。

他業務への応用・横展開
本開発で得られたノウハウを活かし、今後は請求書や報告書などの定型文書生成、複雑なCSV→XML変換など、他の業務領域への応用を検討しています。生成AIの活用を通じて、大学行政・研究支援業務全体の生産性向上に貢献していくことを目指します。

ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。