学生ポータルサイト「MYUpedia」の導入

情報伝達の課題

 従来の学内ウェブサイトは、教職員・学生にとって必要な情報が混在していたため、欲しい情報を探すことが難しく、事務局に直接聞いた方が早いと考える学生も存在しました。特に学期初めは学生からの問い合わせが集中するため、事務局職員が対応に追われ、業務負荷がかかる傾向にありました。

 奨学金や学納金、学籍に関する相談は原則対面で個別に対応する必要があったほか、遠隔授業のURLの掲載場所や、履修登録に必要なサイトのURLなど、「履修登録の手引き(履修登録する際のガイド)」を見ればわかる内容もメールや電話で対応していました。そのため、通常業務が後回しとなり時間外に持ち越すこともありました。(問い合わせ件数:大和キャンパスでは令和2年度:41件、令和3年度:61件 いずれも内容の重複はなし)

 学務課(現:教務課、学生支援課)では経験が浅い若手職員が多いため、返答に時間がかかる場合もありました。

導入の目的

デジタル技術を効果的に活用し、サービス品質を確保しつつ、学生対応を無人化あるいは省人化して対応することで、以下のような目的の達成を目指しました。

  • 学生にとってわかりやすく、誰もがすぐに欲しい情報を得られるようにする。
  • 職員の業務負荷を減らし、学生対応や個々人の事務分掌業務のみならず、課・グループ内等のこと(+α)に目を向けることで、さらなるサービス向上を図る。

主な取り組み

学生ポータルサイト「MYUpedia」の作成

 Microsoft sharepointを活用してポータルサイトの作成を行いました。項目はお知らせ、教務(授業・履修)関係、学生生活関係、情報システム関係、その他の大分類に分類し、中分類に属するアイコンを配置して、入口をコンパクトに見やすくすることで利便性を向上させました。リンクの範囲は、学外ウェブサイトとサイト内に作成したページのみとし、現状の学内ウェブサイトと切り離すことで、学生への誘導の1本化を図りました。
 特に、初心者でも迷うことなく求める情報にリーチできるよう、視覚的なデザインにこだわるとともに、PCだけでなくスマホでも見やすい構成となるよう、情報の取捨選択について議論を重ねました。

在学生用問い合わせチャットボットの導入

 新たに在学生用の問い合わせチャットボットをポータルサイト上に埋め込むことで、ポータルサイトや学外ウェブサイトに掲載された情報をすぐに収集できるようにしました。普段職員が学生へ回答している内容をテキスト形式でチャットボットのシナリオに設定し、学生からの問い合わせに24時間365日自動応答することが可能となりました。

 スタート時からチャットボットの回答内容を完璧にさせることは困難なため、項目を絞り込んでスモールスタートを図り、都度更新していくといったアジャイルで展開していくことにしました。また、両キャンパス(大和キャンパス・太白キャンパス)の担当職員それぞれの対応方法を共有することにもつながり、大きな副産物ともなりました。

学務関係様式の電子化

 ポータルサイト内に様式集を作成し、学務管理システムに掲載していた様式をすべて移行しました。これを機に様式の考え方を見直し、既存の規程を改正して別紙様式をMicrosoft formsに移行するもの、引き続き押印を要するものはWord形式、そもそも様式自体が不要であるものと分けて、様式そのものの要否から見直しました。

 一例として、押印不要の履修取消届や基礎科目履修届等についてはMicrosoft formsで作成し、学生が回答したら自動通知と自動リストアップさせることで、申請確認漏れを防止をするとともに、資料化等の作業も省力化することができました。

稼働後の利用状況

 新ポータルサイトを学生に周知後、利用状況を調査したところ、展開1日目の9月13日は、全学生1812人(令和4年5月時点)に対し約370人、2日目の9月14日は約1250人の利用が確認されました。2日目は特に後期授業のお知らせを掲載したことと、前期成績公開日であることから、ポータルサイト内の学修状況チェックシステム(alagin・nigalaM1)へ飛ぶ中継点としての利用により増加が見られました。

MYUpediaによる効果と今後の展望

 職員側としては、電話対応に時間を割かれることが少なくなり、本来取り組むべき業務にエフォートを向けることが可能となりました。また、学生からのMYUpediaの平均評価は3.8となり、半数以上が4以上の評価となりました。
 職員がニュースを投稿するとユーザー宛に通知が飛ぶ機能を備えているため、学生にとって必要な情報を漏れなく届けることができるため、学生が「困ったら見るサイト」として活用してもらうことを目指しています。今後はMYUpediaを応用した職員向けのポータルサイトを作成することで、事務局内での情報共有をシームレスに行い、サービスの向上を図っていきます。