Googleフォームを活用した防災訓練のDX

 日本は自然災害が多発する国であり、地震、台風、豪雨などのリスクが常にある状況です。特に東北地方は大きな地震が頻繁に発生しており、2011年の東日本大震災はその代表例です。このような災害時において、業務を継続することは企業などにとって重大な課題となっています。災害発生時に迅速かつ確実に業務を継続するためには、事業継続計画、いわゆるBCPの策定が不可欠です。

 しかし、従来のBCPは物理的なオフィスやサーバーに依存することが多く、災害時にその脆弱性が顕在化します。この課題を解決するために、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が求められています。これによって、災害発生時でも迅速に対応し、事業の継続性を確保することが可能になります。DXを推進することによって、自然災害によるリスクを最小限に抑え、より強固な事業継続計画を実現することができるでしょう。

 東北大学では、災害時における迅速な安全確保と救援活動のため、総合的な防災訓練を定期的に実施しています。この総合防災訓練において、デジタルを活用した災害対策の手法を試行し、実際に災害が発生した際に無理なく、混乱なく、DXによる災害対策の高度化を実現できるようにしているのです。

総合防災訓練におけるDX活用例

「屋外避難・点呼・消火訓練」及び「全学一斉安否情報登録訓練」では、データとデジタルを活用することで、安否確認をより正確かつ高速に行うことができるように訓練しています。

「屋外避難・点呼・消火訓練」においては、各部署による報告をGoogle Formで行い、Google Sheetsで自動集計の上、Google Siteで作成したダッシュボードで点呼の状況をリアルタイムに確認できるようにしました。

「全学一斉安否情報登録訓練」においては、安否状況を集計及び可視化したデータをGoogle Siteで作成したダッシュボードでリアルタイムに確認できるようにしました。

 実際の災害にDXを実装するためには、定期的な訓練が不可欠です。訓練では、災害時のシミュレーションを通じてシステムの機能を実際に確認し、運用の熟練を図ります。これによって、システムの信頼性や効果を向上させると同時に、運用者や関係者のスキルを高め、災害時のスムーズな対応を可能とし、学びと研究を止めない、レジリエントな大学であり続けることを実現するのです。