健康診断業務のDX
健康診断業務をデジタル化!業務時間と労力を大幅削減
導入の経緯
本学で実施する健康診断は、主に「一般定期健康診断」「特殊健康診断」「胃がん検診」の3種類があります。それぞれの健康診断は事業場ごとに実施されますが、工学研究科では受診対象となる教職員の数が多いため、健康診断関連業務の負担が大きくなっていました。
特に、新型コロナウイルスの流行以降、受診者の密集を避けるために受診時間帯を30分ごとの枠に分け、受診者を分散させる必要が生じたことで、受診時間の調整がさらに複雑化しました。そこで私たちは、健康診断業務の効率化を目指し、ノーコードアプリ開発ツールを活用したアプリの開発に取り組みました。
課題の特定とプロジェクトチームの結成
従来の健康診断業務には、以下のような課題がありました。
課題
- 約800人にのぼる受診者の情報をエクセルで管理する手間がかかる
- 受診日時の割り当てや通知書の作成・配布が手作業のため、時間と労力が必要
- 予約変更の対応がメールや電話など複数の手段で行われるため、業務が煩雑になる
これらの課題を解決するため、工学研究科・工学部技術部 情報・ネットワーク班のメンバーでDXチームを結成し、健康診断業務を担当する健康安全管理係と協力して問題解決に取り組みました。健康診断業務では、個人情報を含むデータの取り扱いに細心の注意を払う必要があることと、対象人数が多く可及的に対応することは混乱を招く可能性があることから、段階的にシステムを導入・改善していくこととしました。
健康診断アプリ
健康診断業務の効率化を目指し、以下の要件を満たすアプリの開発に取り組みました。
本アプリの要件
- 受診者自身による予約申込・変更
- 教職員のみが利用可能な認証システム
- 自動的な日程割り当て
- リアルタイムの予約状況確認
- 秘書など代理人による予約機能
これらの要件を実現するため、Google社が提供する「AppSheet」というノーコードアプリ開発ツールを採用しました。AppSheetを選択した理由は以下のとおりです。
- 既存のGoogle Workspaceとの連携により、ログイン機能を実装できる
- 複雑な機能をプログラミング不要で構築可能
- Google Apps Scriptとの連携により、自動割り当て機能を実現できる
今回開発したアプリは、以下の主要機能を備えています。
1.オンライン予約・変更システム
受診者が自身の都合に合わせて予約や変更を行えます。
2.自動日程割り当て
自動割り当てツール*を活用し、効率的に受診日程を割り当てるプロセスを自動化しました。
3.当日の受付管理
健康診断当日の受付業務をデジタル化し、スムーズな運営を実現しました。
4.事前通知・リマインド機能
受診者に予約日時を通知し、未受診者にはリマインドメールを送信。これにより、受診漏れを防ぐサポートを行います。
これらの機能により、健康診断業務の準備から実施までのほぼ全てをアプリ上で完結させるワンストップ環境を実現しました。
成果と今後の展望
このアプリの導入により、以下の成果が得られました。
アプリ導入による成果
- 管理業務の大幅な効率化を実現
- 受診者の利便性が向上(自由な予約変更、リマインド通知など)
- 受診忘れの防止に貢献
プロジェクトチームのメンバーの中にはDX5.0業務のスマート化チームに所属するメンバーも含まれており、今後はこのアプリを汎用化するなど、他部局でも活用できるようさらなる改良を進めていく予定です。