学内投票手続きのDX
教職協同で実現した学内投票手続きのDXが評価され、総長業務功績賞を受賞
背景
東北大学では、以下3つの目標を達成するため、「教育研究評議会が推薦する総長候補者の選考に係る管理委員会」、「法務・コンプライアンス課」、「業務のDX推進プロジェクト印鑑フリーチーム」が教職協働で連携し、総長選考における候補者推薦手続きに電子投票アプリの導入を決定しました。
目標
- 教員の研究時間確保:投票、開票とその準備作業から多忙な評議員を解放し、本来の研究活動に専念できる環境を整備する。
- DXの一層の推進:DXを推進する本学において、その流れを加速し、大学全体のデジタル化を促進する。
- レジリエンスの向上:感染症が再拡大した場合でも、確実に投票を実施できる体制を構築する。
電子投票アプリの機能
電子投票アプリ導入における懸念点「確実な本人確認」について、管理委員会委員からの有用なアドバイスを基に慎重に検討しました。その結果、当初検討していた市販の電子投票システム導入ではなく、Google Workspaceを活用したアプリを印鑑フリーチームにより内製することとしました。このアプリには以下の機能を実装しています。
- Google Workspaceによる確実な本人認証により、非有権者が投票用URLにアクセスしても投票することができない。
- 投票の秘密を確実に守りつつ、投票有無を確認でき、未投票者へリマインドメールを送信することができる。
開発後も管理委員会でデモを行い、操作性や画面レイアウトなどを確認することで、要求仕様である「なりすまし防止」と「匿名性の担保」の両方を満たす本学独自のアプリを内製することができました。
電子投票アプリ導入による効果
電子投票アプリの導入により、以下のような効果が得られました。
1.多様性と公平性の向上
・全ての記述を日英二言語で表示し、学内構成員の多様性・公平性に配慮。
・海外渡航中でも同条件で投票可能
⇒投票率の向上
2.投票機会の安定的な確保
パンデミック等のあらゆる状況下でも、学内構成員の意向を聴取可能。
3.業務時間の大幅削減
業務時間約700時間の削減(説明会、投票所の設営、投票所の立会、投票所等受付、開票)
※投票者の時間(投票所までの移動等)は未計上
4.経費削減
経費約10万円の削減(郵便投票、昼食・お茶代)
5.部局事務担当者の業務削減
・郵便投票、期日前投票の受付、投票日の投票呼びかけ業務が不要に
・6年に1度の臨時的業務による負担が大幅に軽減
総長業務功績賞(事務部門)の受賞
本アプリは、2023年10月の総長選考における候補者の推薦手続きに活用されました。その結果、2024年3月、情報部デジタル変革推進課共通基盤係 小野﨑 伸久係長*と総務企画部法務・コンプライアンス課 瀬成田 智課長補佐*が東北大学総長業務功績賞(事務部門)を受賞しました。
「総長業務功績賞(事務部門)」は、本学の事務、その他の運営に関する職務において、本学のビジョン実現、業務改善、大学改革の推進、その他の業務上特に顕著な功績があった職員を表彰するものです。
単なる学内投票手続の業務改善にとどまらず、教職協働によるデジタル変革を実現し、コネクテッドユニバーシティ戦略における「大学経営の変革」の具体的な実践例として大きく貢献した点が高く評価されました。
*受賞当時の役職
今後の展望
「総長選考の推薦手続での厳格な基準を満たした電子投票アプリ」は以下の特徴を備えているため、今後様々な場面での活用が見込まれます。
電子投票アプリの利点
- 匿名による投票の実施が必要な場面での活用(教員採用の審議、部局長の選考など)
⇒不在者投票、投票立会、開票作業などの業務削減 - 対象者を限定した上で匿名で行う精度の高いアンケート
⇒信頼性の高い参考資料の作成
2024年度には、文学研究科の研究科長予備選挙に活用されました。また、他研究科等でも導入を検討いただいています。今後も全学的な業務変革に向けて、幅広い普及を目指してまいります。