麻布大学が教務DX推進組織を発足、AI機能付きチャットボットと保護者向けポータルサイトを導入

導入の背景
麻布大学は、神奈川県相模原市に本部を置く私立大学です。獣医学部と生命・環境科学部の2学部と、獣医学研究科と環境保健学研究科の2研究科を設置しており、建学の精神「学理の討究と誠実なる実践」の元、日々教育・研究活動を行っています。麻布大学では、約2500人の学生が在籍していますが、学生サービス・保護者向けサービスは、教職員の人海戦術的な取り組みに大きく依存しており、特に履修登録時や成績発送時においては、教務部門の職員に対し大きな負担を課している状態でした。
教務DXプロジェクトの結成
この状況を重く見た学長からの指示を受け、令和5年12月に、事務職員の選抜メンバーにより、教学に関連するDX化の推進を行う「教務DXプロジェクト」が結成されました。このプロジェクトでは、教務部長をプロジェクト統括とし、教務課2名、学生支援課1名、入試広報・渉外課から1名、附属学術情報センターから1名のメンバーが選出され、教務課長及び附属学術情報センター事務室 情報システム担当室長がオブザーバとして加わることとなりました。
教務DXプロジェクトは、令和6年度から本格的に始動し、学長から具体的に示されたミッション「成績等の郵便物の誤発送のリスク低減や教職員の負担軽減、情報の共有化などの観点も含め、保護者が学生の学習状況を確認できるシステム・仕組みについて検討の上、導入に向けた推進を図る」を解決すべく、プロジェクトの目標を「AI機能付きチャットボットの導入」、「保護者向けポータルサイトの構築」に定め活動を始めました。

プロジェクト活動
フラットなコミュニケーション
Google Workspaceをフル活用し、会議資料はGoogleドライブ内のドキュメントやスプレッドシートにアップ、決め事はGoogleフォームを活用した投票を使用、連絡事項の通達、メンバー内のアイデア出しは基本的にGoogleチャット経由で行いました。特にGoogleチャットの活用は有効に作用し、役職や部署の関係無く、冗談やちょっとした思い付きであっても「楽しい」反応があるコミュニケーションを基礎とし、プロジェクト活動が進行しました。


メンバーに対する具体的行動の明示
プロジェクトメンバー会議においては、全ての議題について、「誰が、いつまでに、何をするか」という結論を求め、これをGoogleチャットのToDoリストに掲載することを徹底しました。この結果、プロジェクト内で「検討しっぱなし」という項目が無くなり、短い期間において2つのアプリケーションを導入することができました。
思考のDX化
プロジェクトを進めていく上で、メンバー内で特に強く共有されたのは、「担当業務を抱えて悩むと、大きくスケジュールが押してしまう」、という点でした。そこで、プロジェクトメンバーには、事務職員が矜持としていた部分「情報収集、アイデア検討、文書、デザイン」についても、積極的に「AI外注」することを求めました。
より具体的には、プロジェクトメンバーには、大学DXアライアンスのほか、企業展示会や各種セミナーにも積極的に参加してもらい、「DXの現状とはどんなものか」というイメージ・プロダクト・判断基準を培ってもらうことに注力をしました。

その上で、自ら考えるのではなく、生成AIが出力した多くの候補の中から適切なものを選び出す、という活動方針を求めています。この結果、アウトプットに関しては非常に早くなったほか、各案に対する意見が積極的に出るという副次的な効果が得られました。
プロジェクトで導入した2つのアプリケーション
AI機能付きチャットボット「AzaBot:あざぼっと」
プロジェクト開始前は、履修支援等を目的とした、Google AppsScriptを用いた職員の自作チャットボット「教務課チャットボットAChaBot」が稼働していましたが、教務DXプロジェクトによりこれを廃し、ChatPlus社のAIチャットボットが新たに導入されることとなり、「AzaBot」と命名されました。
AChaBotは自作ゆえの応答速度の遅さやメンテナンスの難しさが課題でしたがAzaBotはこの点をクリアし、教務だけでなく、学生支援や入試広報にも活用されることとなりました。また、AzaBotはナレッジ管理にAIが導入されており、管理負担を減らしつつも、自由度の高い運用が実現できるようになりました。

保護者向けポータルサイト「アンシンサイト」
プロジェクト開始前は、保護者に対する各期の成績配布は郵送により行っており、担当する職員は誤発送防止のために二重、三重のチェックを強いられ疲弊している状態でした。
教務DXプロジェクトにより、SystemD社の保護者向けポータルサイト(アンシンサイト)が導入されることとなり、保護者がインターネット経由で、学生の修学状況、成績、学納金状況、大学、父母会からの情報などを確認できる環境が整いました。
現在は、主目的である成績発送のみに同システムを用いていますが、当初の課題であった成績配布に係る作業は一切なくなり、さらには浮いた郵送費にて、システム構築費用がペイできる見込みとなりました。

今後の展望
プロジェクトメンバーの尽力により、予定していた2つのアプリケーションの導入が無事完了し、学内での成果・課題解決報告も行われました。教務DXプロジェクトは継続することとなり、AzaBot、アンシンサイトの改善と担当課移管を進めることとなりました。また、新たな目標として「既存IT資産の活用によるDX化推進」を掲げ活動を始めています。
本学では、Google Workspaceに付属するGeminiやNotebookLM、学内SDで紹介されたChatGPTなど、多くのサービスが利用可能となっていますが、活用されているとは言い切れない状況です。 今後はこれらのツールを掘り起こし、通常業務と融和した使い方を提示するとともに、大学DXアライアンスにおいても、その成果を共有してまいります。
関連リンク
ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

